草書を学ぶのにお勧めの臨書はいくつかありますが、その中の一つに「真草千字文(しんそうせんじもん)」があります。私が学んでいる日本習字の臨書部で今年「新」から取り組める草書の課題は、この文字。高校の書道の教科書にも、草書の紹介ページに真草千字文が取り上げられています。この真草千字文の歴史や特徴などをまとめていきたいと思います(*‘∀‘)

随時代、智永が30年間書き上げた千字文 真蹟本・関中本がある

千字文は、千文字の漢字を学ぶために作られた詩文です。書いたのは智永(ちえい)。主に随時代に書家として活躍した僧で、書聖と名高い王義之七世の孫にあたると言われています。代々伝わる王義之の書法に最も近く、更にその書体を研究。特に草書が優れており、古来から現代でも広くお手本として使われています。

「千字文」は智永が永欣寺の閣上に30年間閉じこもり800本以上臨書し、それを諸寺に1本ずつ施与しました。そのうちの1本が奈良時代に日本に伝わり、真蹟(しんせき)本として国宝にもなっています。※真蹟(=真跡)本…その人が書いたものであると認められている筆跡の本。「真草千字文」というと、この真蹟本のことを指すことが多いです。
また同じ智永の千字文でも、石刻拓本の関中本(かんちゅうぼん)や、宝墨軒本(ほうぼくけんぼん)という千字文もあります。※関中本は、「関中千字文」とも呼ばれています。

智永は30年千字文を書き続けました。真蹟本と関中本はどちらもお手本としてよく使われるものですが、同時に書かれたものではないので雰囲気は異なります真蹟本の方が筆の動きがよく分かるため、それを踏まえて互いに参考にするのが良いと、お手本の解説にも書いてありました(*’▽’)

関中本「萬方」※臨書部2020年4月号より

↑↓結構特徴が違ったりもします(‘◇’)。

真蹟本の「萬方」※臨書部2020年4月号より

ちなみに真草千字文の「真」は楷書を表し、「草」は草書を表しています。作品を見てみると、右列が楷書、左列が草書です。こう見ると確かに分かりやすい!「漢字を学ぶために作られた」というのがよく理解できます。

高校の教科書「書道I」より抜粋しました。

千字文は、美文であり、なおかつ同じ文字は一度しか出てきません四言一句×250句からなる、四言古詩からできています。冒頭は天地自然のありかたから始まり、身近なこと、生き方など広く論じています。
ちなみに日本習字臨書部のお手本は関中本を元に、私たち生徒が書きやすく臨書してくださっているものがお手本になっています。まだまだ古典をそのままお手本にするのは難しいですが、その良さを少しずつ分かるようになりたいなぁ(>_<)

5月号の課題、練習中です☆

真草千字文の特徴、押さえるべきポイント

●まずは草書としての字の形を知る
●角ばったところが少ない、やわらかで伸び伸びとした書風
●崩しすぎることなく、字体が理解しやすい
●スピード感があるが、しっかりとした重みも感じる

私もこれから練習を重ねて草書に慣れていきたいと思っています(*´▽`*)
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