紀元前4世紀頃に刻まれたと言われる、中国最古の文字「石鼓文」。長い歴史を感じる文字は、どこか温かみがあって独特の古代の魅力を感じます。書道をやるなら一度は書いてみたい古典の一つ。詳しくまとめておきたいと思います(^^)。

紀元前4世紀頃に石に刻まれた、王の狩りに関する詩文

石鼓文は、石に刻まれた文字としては中国で最古のもの、中国戦国時代で作られました。正確な刻された年は不明ですが、秦王朝が中国統一する前の紀元前4世紀頃だと言われています。発見されたのは唐の貞元年間(785~805)、陝西省鳳翔府天興県陳倉にて農民が見つけたのだそう。10個の太鼓の形をした高さ約65センチの石。その側面に刻まれていたため「石鼓文」と呼ばれるようになりました。

高校の教科書「書道Ⅱ」より引用しました☆

石鼓文には王の狩猟についての詩が書かれており、当時の暮らしや古代文化が分かる貴重な歴史的資料でもあります。また石鼓文は戦争などで幾度か紛失し発見される、を繰り返しています。様々な歴史を超えてきた石鼓文は、中国の書道史と中国の歴史には欠かせないものです。現在は北京にある故宮博物院で展示されています。

石鼓文の書体は大篆(だいてん)で、石鼓文自体のことを大篆と呼ぶこともあります。下の図、「書体の変化」の図なのですが(ちょっと見にくい)、石鼓文は上の列の右から2番目。秦時代の篆書「小篆」の元になっており、「小篆←石鼓文←金文」とあります。「秦隷←石鼓文」にも発展しています。

書道専門雑誌「墨(2020年3・4月号)」より引用しました☆
特徴は象形文字の名残を残した形 独特の形が美しい!

石鼓文の文字の線の太さはほぼ一定で、左右対称、水平で垂直。どこか安心感のある安定した形が特長です。起筆は逆筆で入り、蔵鋒(穂先を丸めて、線の中に隠すように書く方法)で書かれています。

高校の教科書「書道Ⅱ」より引用しました☆

臨書する際は、筆を少し寝かせて筆の腹で書く側筆は、あまり取り入れないように注意。文字の余白が同じ広さに見えるように書くことも大切です。臨書は拓本でも摩耗して読めない文字があるため、他の臨書例を確認したり、金文の字を確認するとある程度分かります。

日本習字臨書部のお手本より☆石鼓文は上段位の人用の課題でした(^_^;)

石鼓文はその魅力ある字体に惹かれる人が多く、臨書作品がいくつもあります。↓一番右が李陽冰(りようひょう)によって書かれた「李氏三墳記(りしさんぷんき)(767)」、中央が王ジュによる臨書したもの(1730)、左が呉昌碩(ごしょうせき)が臨書したもの(1910)です。特に呉昌碩は生涯にわたって膨大な数の臨書を書いており、その作品は臨書を学ぶ人にとってとても参考になります。(呉昌碩については、後日別の記事にまとめますね(*´∀`*))

日本習字臨書部のお手本解説より引用しました☆

書体の歴史を見てみると、やはり石鼓文は外せない作品。臨書レベルで言うと中級者向けかな?もうすこし学習してから…数年以内にはしっかり練習したいなと思っています♪

◎↓臨書するなら法書(お手本)を買いたいなぁ~!

◎↓私のバイブルと化している高校書道の教科書です。(普通にネットで購入しました!)石鼓文は「書道Ⅱ」に載っていました。