孫過庭の「書譜(しょふ)」は、中国唐時代の作品。高校の書道の教科書にも掲載されており、臨書は簡単ではないものの、草書学習で好んで選ばれる書です。今回はそんな書譜について、内容と特徴、魅力などをまとめたいと思います☆
(※臨書を学んで4年?程の私ですが、書譜は高段位の課題となっているため、まだ書いたことはないです…(^_^;)初心者には難しめ。)

王羲之の書が優れていること、心を込めて書くことの大切さなどを論じている内容

孫過庭が考える「書に関する事柄」を草書で記したものです。書譜は草書学習で好んで選ばれており、私が数年前に買った高校の書道の教科書「書道Ⅱ」にも掲載されていました。

高校の教科書「書道Ⅱ」より、書譜部分を引用しました☆

作者の孫過庭については、詳しいことは分かっていません。出身地や生涯の詳細は不明で、実は名と字(あざな)も曖昧です。役人としては出世せずに無名だったようです。
書譜の内容は、王羲之をはじめとする書について、書を学ぶ際の心得、書の運筆と表現、本質などが中心。評論的な内容はもちろんですが、書がどれだけ素晴らしいことなのか、心を込めて書くことの大切さを述べていて、内容を理解すればするほど奥深さを実感できると言われています。

 

文章は当時流行した四六駢儷体(しろくべんれいたい)で表現されています。四六駢儷体とは4字句・6字句を基調とし、対句を多くし韻を踏むといった文章の美しさを重視しているため、内容をしっかり読み解くのは難解です。現在は台北(タイペイ)の国立故宮博物院に所蔵されています。

「書譜」の書き方の特徴…草書の模範、独草体、節筆

書譜の特徴は、王羲之の技法を受け継ぎながら、高度な技法によって書かれていて芸術的に仕上がっていることです。書譜のことを「音楽的」「絵画的」という表現をしている専門書もあります。バランスが絶妙でリズミカル、強弱があり、変化に飛んでいます
書譜は唐代を代表する書の本として、また草書のお手本として長年親しまれ研究対象にもなってきました。
草書でありながら、続け書きはしていない「独草体」です。

「書道Ⅱ」より引用☆草書の名作を並べたもの。書譜は左から4番目。独草体分かるかな…??

「右旋回」が多く見られ、筆を寝かせて書く「側筆(側筆)」によって線が膨らんでいます字によっては「頭大脚小」であり、やや不安定に感じられる字もあります。

マンガ「書の歴史」より引用☆右半分は右旋回がよく分かり、左半分は節筆が分かるかと!

それから書譜の技法で外せないのが「節筆(せっぴつ)」紙の折り目部分などにできている節のような用筆を指します。書譜は、約2.4cmの間隔で縦に山折りに折られています。前半部分はこの折り目と折り目の間にきちんと書かれていますが、後半部分は、折り目を超えて筆が走っています山の部分に筆があたって極端な変化が生まれた部分が「節筆」です。この技法は、単純な書線にはない迫力が感じられ、書道の表現力を豊かにしています。

日本習字臨書部のお手本より引用☆右と左は、頭大脚小、真ん中は節筆について臨書するお手本です。

節筆は当初は全て偶然できたものと認識されていましたが、偶然だけでなく孫過庭が自発的に取り入れた手法とされています。臨書する際は、草書初心者は節筆の少ない書譜の前半部分を中心に学ぶのがお勧め。全て忠実に再現するとわざとらしく見えてしまうため、再現する節筆箇所を選んで無理なく取り入れるのがポイントです。

孫過庭の書譜について、少し難易度が高いことから書いたことはなかったのですが、調べてみると実に奥深い!もう少し上達したら、是非臨書に挑戦してみたいなと思います(*´∀`*)。
◎↓書譜を臨書するなら、法書(お手本)があると便利。評価が高いものを載せておきます~!