書写習字、そして書道。どれも同じような言葉に聞こえますがその中身は違うものです。今回はこれらの違いを詳しくまとめてみました。学ぶ上で自分がどこに目標を置くか、考える一つのきっかけにもしてもらえたらと思います(∩´∀`)∩

「書写」=小中学校の必修科目 「習字」は正しく美しい字を習うこと

「書写」というと、学校教育の教科をイメージする人が多いかもしれません。書写とはその言葉通り「書(文字)を写し取る」ことを意味していて、毛筆と硬筆から構成されています。小学校の必修科目となったのは1971年のこと。戦後は硬筆のみが学ばれていましたが、毛筆の要望が多かったため毛筆も加えられました。ちなみに戦前までは書写ではなく「習字」「手習い」という言葉が主に使われていましたが、教科としては現在「書写」という言葉が正式なものとして使われています。
ただ「習字」という言葉が全く使われていないわけではありません。むしろ日ごろの会話や教室名となると「書写」よりも「習字」の方が使われることが多いでしょう。習字とは、字を習うこと正しい筆順で、美しく正しい文字を書けるように学ぶことを意味しています。こちらも毛筆や硬筆、ペンなども含めて構成されています。
ちなみに私が学んでいる団体名は日本習字。当たり前のように「習字」という言葉が使われていたので、私にとっては「書写」や「書道」よりもこちらの言葉の方が馴染みがあります(*’▽’)

基礎を踏まえて「書道」の世界へ 自由に個性を生かして書く

さて、そうなると「書道」はどういって意味があるのでしょう。高校の教科書「書道I」にはこんな記述がありました。「小・中学校で学んだ書写は国語科に位置付けられ、文字を正しく整えて速く書くことが目標でした。高等学校の書道は芸術科に属しています。書写能力を高めるとともに、書の表現と鑑賞の能力を伸ばしていくことが目標となります。」つまり、正しく美しい文字を書くという基本を踏まえて、個性を活かす芸術の道を目指すことが「書道」だということです。

高校では、漢字、仮名、漢字仮名交じりの書を学びます◎臨書を通じて、色んな表現方法を知るんですね(^^)

ただ「書道教室」と打ち出していても、結局は「正しい美しい文字」を学ぶという教室が多いと思います。最初から「自由に好きなように個性を出して文字を書いて」と言われても難しいので、結局は書道の基本である美しい文字を身につけることが第一その先に芸術的な書の世界が広がっているのです。綺麗な文字を書くことにこだわらない、一見何を書いているのか分からないような前衛書道の分野なんかは、書道の中の一つの道の例として分かりやすいかもしれません。

「上手」だけではない、もっと色んな表現の仕方があることを知ることも大切ですよね(゚∀゚) ※こちらも「書道I」の教科書の1ページ。

自分が目指すべき「書」とは何だろうと考えてみる

書写、習字、書道の違いについて知ることができたら、自分はどんな書を書きたいのか、考えてみることも良いと思います(*ノωノ)
少し私自身の話をさせていただくと、私はずっと綺麗な字を書きたくて習字教室に通っていました。高校の芸術科目や部活では臨書を学び、書道の広い世界を知ることもできました。教室では昇段試験を受けてそこそこ良い評価もいただきましたが、就職を機に教室を辞める時は、きっとこれから書を学ぶことはもうないなとあっさりとしたものでした。
ただブランクを経て30代半ばになってもう一回書を学びたいなと思った時、綺麗な字を書くことも良いけれど、もっと視野を広げたいなぁと思ったんです。「習字」も良いけれど、「書道」の広い世界を見たい。自己表現、とまでは行かなくても、古典を学んだり様々な表現方法を知りたい。そう思い、同じ日本習字を再開するにあたって、過去に学んでいた「漢字部」「かな部」ではなく、「臨書部」を選びました。臨書を学んでいれば、この習字団体に所属していないたくさんの人とも繋がれるし、いつかは一般の公募展などにも挑戦できるかも、と。ただ、自分はこれからどういう字を書いていきたいのか。それはまだよくわかりません(^▽^;)でもこのサイトを作ることで、書の色んな可能性を知り、魅力を知り、自分が目指すべきものが明確になればいいなと考えています。

「書写」でも「習字」でも「書道」でも、何にせよ筆を持って文字を書くことはとても楽しいことです。これを読む方が少しでも書の素晴らしさを感じてくれたら嬉しいなと思います(*´▽`*)