鶯谷にある台東区立書道博物館に行ってきました☆実はもともと美術館や博物館に行くことは大好きですが、絵を見ることが多く書道の分野は見てこなかったんです…(大学も造形を学んでいたので(^▽^;))。最近臨書の世界に足を踏み入れたのを機に、色んな書の世界を見てみたいと思うようになり初めて訪れました。感想として、書道を学んでいる人も、書道に興味が無い人でも、きっと何かを感じられる場所だなと。これを読んだ人の中で「行ってみようかな~」と思う方がいたら嬉しいなと思います!
中村不折による貴重な書のコレクションが見られる博物館
書道博物館は鶯谷駅から徒歩5分ほど。ラブホ街の中に突如として現れます(笑)。正式名称は「台東区立書道博物館〈中村不折記念館〉」。洋画家であり書家でもあった中村不折の貴重なコレクションを見ることができる施設です。ちなみに向かいには、中村不折ともつながりがあった正岡子規が最後に暮らした家でもある「子規庵」があります。※私が訪れた時は、コロナの影響で残念ながら閉館中でした(´;ω;`)。
私が訪れたのは2020年10月。今年の12月13日までは「中村不折の世界」という企画展が開催中です♪この博物館を建てたご本人の人生、世界観に触れられる機会が、訪れた最初にあたって幸運でした(*ノωノ)
館内は写真禁止なので、撮影は入口まで。館内の作品やコレクションに存分に浸ってください~♪
せっかくなので、ここからは書道博物館と企画展のパンフレットからの情報も織り交ぜて簡単にご紹介しますね。書道博物館を創設した中村不折(1857~1916)は、明治から昭和に渡り、美術界と書道家に足跡を残した人物です。画家を志した不折は若いころにフランスへ留学。躍動的で力強い写実的な写実主義を確立して、帰国後は教育者としても尽力をします。★不折については、こちらの記事で改めて紹介しています!
不折は、明治時代を生きた文豪たちと交流もあったことから、夏目漱石の「吾輩ハ猫デアル」などの挿し絵なども手がけました。
不折は書道研究にも没頭します。きっかけは日清戦争従軍記者として中国に行ったことからでした。そこから約40年かけて書の貴重なコレクションを集めていくようになります。ちなみに不折自身、独自の大胆な書風を生み出しました。その書体は”不折流”とも呼ばれています。「新宿中村屋」の看板文字や清酒「日本盛」などのラベルなどを書いたことでも有名です。
文字が刻まれた貴重な文化財が多数!書の原点を学べる資料に驚き
ここの書道博物館で有するコレクションと、昭和11年に建てられたこの博物館建設にかかった費用は、全て不折自身が捻出しました。自分でかいた絵画や書を売ったお金で貴重な資料をかき集めたのです。中村不折記念館と本館の間にはちょっとした中庭があるのですが、ここには明治32年に自身が建てた資料を保管していた蔵があります。
本館には甲骨、青銅器、玉器、瓦当、塼、陶瓶、仏像、碑碣、墓誌、文房具などなどたくさんのコレクションが展示されています。書道博物館という名称から勝手に紙に書かれた書道作品が飾られているのかと思っていたのですが、もっと書の原点というか根本的な”はじまり”を実感できるようなものが多い印象です。美術品ではあるのですが、歴史的資料も多いので「書道美術館」ではなく「書道博物館」と名付けたのかもしれませんね。
個人的には中国古代に刻まれた石碑、仏像や墓誌は、胸を打つものがありました。書を書いた人、それを石に掘った人、繊細な文字列からその息遣いが聞こえてくるようで…。そのまま書の手本に出来るくらい美しい文字が刻されたものも多々ありました。博物館の規模から、普通にさらっと見ていくと1~2時間で見ることができます。書道好きの方はもちろんなのですが漢字や文字、中国の歴史が好きな方は是非お勧めしたいです(*´▽`*)。
余談ですが、私は夫と二人で訪れたのですが、そのまま上野まで散歩して美味しいランチも食べちゃいました。気負いせず、ふらっと訪れても楽しめる場所だと思います~!!
◎不折が手掛けたロゴの商品をいくつか。「真澄」、「新宿中村屋」…これも不折の作品です!◎