今、私は臨書部の課題で乙瑛碑を書いています。乙瑛碑は後漢時代の古典で、格式高い八分隷として知られています。書いてみると力強さと勢いがあり、たくましさを実感できる隷書です(*’▽’)♪今回は、この乙瑛碑の歴史、特徴、魅力について詳しくご紹介したいと思います!
153年建碑、「漢魏碑刻陳列館」で現在も公開されています
乙瑛碑(いつえいひ、いつえいのひ)は、全名を「魯相乙瑛置孔廟百石卒史碑(ろしょういつえいちこうびょうひゃくせきそつしひ)」などと言います。「など」と書いたのは呼ばれ方が複数あるため。表題が無いことから、様々な呼び名を持っています。
建碑は、後漢時代の永興元年(153 年)。朝廷より乙瑛(魯の国の大臣を務めた人物)に、孔子廟を守る卒史(役人)を置くことが許可されます。それまでの経緯と乙瑛をはじめとする関係者の功績をたたえるために、孔子廟の中にこの碑が建てられました。
ちなみに、当時の国教は儒教でした。儒教の始祖である孔子の生誕の地である山東省曲阜(きょくふ)は特に重視され、紀元前478年に孔子をまつる孔子廟大成殿が建立されました。(中国各地に孔子廟は存在します。)乙瑛碑は、ここの東廡(とうぶ:東の長い廊下)にある曲阜碑林のひとつとして1800年以上飾り続けられました。
現在は、孔府裏にある「漢魏碑刻陳列館」という場所に移されて保管、公開されています。乙瑛碑は、史晨碑(ししんぴ:169年)、礼器碑(れいきひ:156年)を合わせて「孔廟三碑(こうびょうさんぴ)」と呼ばれており、全てここにあります。他にも張猛龍碑(ちょうもうりょうのひ)、賈思伯碑(かしはくのひ)など、有名な石碑が多くあり、調べていたら、一度は訪れてみたくなりました( *´艸`)。
乙瑛碑の高さは260cm、幅は129cm。碑文は18行、各行40文字で、合計766文字が書かれています。
等間隔で書かれる隙のない線 力強いが、力を入れすぎずに書く
隷書の書体のひとつに「八分隷(または八分)」があります。その特徴はしっかりとした波磔が見られること。乙瑛碑はこの八分を突き詰め、格調高く表現したものとして評価されています。(※八分隷とは逆に、波磔などが見られない初期の隷書を古隷といいます。)曹全碑はのびのびと流れるような波磔なのに対して、乙瑛碑は力強く勢いがあります。
乙瑛碑は全体的に見ても、重みがありしっかりとした印象。たくましさがあり、しゅっとした切れ味もあります。
字形は扁平。縦画も横画も比較的まっすぐに、等間隔に点画を配置します。起筆は、斜めに切れ込むように(ついつい丸っこく書いてしまう…)!収筆は丁寧に押さえ込むことはせず、筆をサッと紙から離す感じ。転折は横画と縦画を分けて二画で書きます。重厚感はあるのですが、決して重すぎるわけではなく、さらっと迷いなく筆を運ぶような歯切れの良さを表現するのがコツです。
乙瑛碑の歴史や特徴を知ることで、書く時に具体的にこう書こう!と意識することができます☆私も次回の練習が楽しみになりました。乙瑛碑らしい、その空気感を表現できればいいなと思います(/ω\)。
◎↓乙瑛碑の本も参考までに!私もまだまだ勉強中です◎