今回は、最近課題で取り組んでいる隷書の「礼器碑(れいきひ)」。細身の線で波磔に鋭さがある、後漢時代の古典です(*^^)v。礼器碑は、乙瑛碑と並んで称される八分隷。隷書のお手本として昔から重視されてきたこの古典は、書道を学ぶ人にとって必ず出会うと言っていい作品かもしれません。今回はこの礼器碑の歴史、特徴、魅力について詳しくご紹介したいと思います!
隷書の手本として珍重 山東省曲阜「漢魏碑刻陳列館」で参観できる
「礼器碑(れいきひ)」は後漢時代、永寿2年(156年)に建立されました。魯の相の韓勅(かんちょく)が、荒れ果てていた孔子廟(儒教の祖の孔子を祀る霊廟)を修理し、祭祀などのときに用いる器物「礼器」を整備した功績をたたえたもので、正式名称は「魯相韓勅造孔廟礼器碑(ろしょうかんちょくぞうこうびょうれいきひ)」、別名は「韓勅碑」とも言われています。
隷書は波磔があるものを「八分隷(はっぷんれい)」、波磔が無いものは「古隷(これい)」と言いますが、礼器碑は153年に建碑された「乙瑛碑」と並んで称される美しい八分隷です。後漢時代に生まれた最高傑作「漢隷第一」と称賛されています。
礼器碑が造立された場所は、山東省曲阜(きょくふ)。ここは儒教の始祖である孔子の生誕の地であり、孔子廟内には名碑がそろっていることで有名です。(乙瑛碑、史晨碑、猛龍碑、賈思伯碑など。)現在礼器碑は、孔府裏にある「漢魏碑刻陳列館」に置かれており、いつでも参観できるそうです。
礼器碑の特徴 切れ味のある凛々しさとゆったりとした絶妙な美しさ
礼器碑は、正面(碑陽)が本文。韓勅の功績を述べた内容で、16行・各行36字で刻されています。本文の文字は凛々しく、特に最初の方の文字からは緊張感が感じられます。裏(碑陰)は、建碑に際しお金を出し合った役人の官職、氏名、金額が刻されています。こちらは比較的ゆったりとした書風が特徴です。礼器碑は全体的に動きがあり自由さがあります。ただその変化のある字形から、複数の人が手掛けて書いたものだという説もあります。
文字の特徴として、細身で切れ味があります。特に目立つのが波磔。収筆では筆圧を強めて、三角形を作りながら鋭く払います。隷書の特徴である、一字の中で一画だけ波磔を付けて強調する「一字一波」という原理は、礼器碑にも当てはまります。平べったい安定した形で、縦画または横画が複数ある場合は、等分割で書きます。
臨書してみると、ただ字が整っているのではなくて、美しく見せるためにあえて右上がりに書いてあったり、中心線を少しずらしていたり…細かく計算されていることに気づきます。「表現の多様性」も魅力の一つと言われている礼器碑ですが、まさにそれ!隷書を書く上で、やはり押さえておきたい古典だなぁと感じます。
私もまだまだ勉強中ですが、礼器碑について魅力や良さが少しでも伝われば嬉しいなと思います(*^-^*)。
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