楷書、行書、草書…と学んでいくと出会うのが隷書。私も中学か高校の時に初めて書きましたが、これまでの書体とは違う特徴に驚き、とても面白いと思った書体です(*´▽`*)。今私は臨書を学んでいますが、隷書の古典に出会う度に、隷書の魅力や奥深さを感じています。今回は、知っているようで知らない(?)隷書の歴史や書体の特徴、魅力をご紹介したいと思います☆
効率化を考えが囚人が考えた書体?!現在は波磔や波勢のある八分隷が主流
隷書は、中国の秦時代に、篆書の点画を簡略化した実用的な書体として登場しました。マンガ「書の歴史」に↓こんなイラストがありました。隷書は、程邈(ていばく)という囚人のような低い立場の人が考えたという説が濃厚だそう。「隷書」の「隷」は、「奴隷」という言葉にも入っていますね。最初に発生したのは、紀元前三世紀頃と言われています。
最初の頃の隷書は、私たちが想像する波磔(はたく)や波勢のある書体(=八分(はっぷん))とは異なり、正面を向いた幾何学的でシンプルな印象。(※波磔とは、波打つような右払いを総称して言います。)秦時代の隷書は「秦隷」と呼ばれ、そこから前漢時代に「古隷」となり、その後「八分」の特徴のある隷書になります。ちなみに前漢時代には、隷書と草書の要素が入った「草隷」が生まれ、そこから「章草」が生まれます。この章草は、一見草書に見えますが、隷書の特徴である波磔があります。
漢時代に普及した隷書ですが、前漢と後漢では形が少し違います。かつては「前漢の隷書に波磔なし」と言われていましたが、「居延漢簡(きょえんかんかん)」という木簡の中に前漢の年号が書かれている文字があり、そこではっきりと波磔が使われていることで、これまでの説が覆されたそうです。
ちなみに臨書を初めて学ぶ高校の教科書「書道Ⅰ」では、隷書の古典として「曹全碑」「乙瑛碑」「居延漢簡」が掲載。「書道Ⅱ」には、「礼器碑」「張遷碑(ちょうせんひ)」「開通褒斜道刻石(かいつうほうやどうこくせき)」「敦煌漢簡(とんこうかんかん)」が載っています。←高校生、こんな難しいのを学んでいるのね(;・∀・)。
隷書の特徴 基本を押さえつつ個性を捉える 日常的にも使える書体
隷書の基本用筆として、水平に、穂先を見せないように、弧を描くように波磔を書くのが基本。ひとつひとつの特徴は書き重ねていって体に染み込ませるのが良いです(;^_^A。楷書や行書が苦手な人も隷書なら書きやすい、と思う人も多いかと。私は他の書体で疲れたら隷書で一息入れています。
書道の基本となる右上がりは、隷書はNG。横画や縦画で大切なのが、穂先を包み込んで折り返す、逆筆・蔵鋒。穂先が線の真ん中を通るように書く中鋒。折れは、横画を書いたら一度筆を離し、再度縦画を書きます。
歴史を学ぶなら、学校の教科書に載っているような幅広い時代の隷書に触れるのが良いと思いますが、書いて身に付けるなら八分隷の「曹全碑」「礼器碑」「乙瑛碑」を臨書するのがおススメです。
隷書の臨書をするのであれば、隷書の基礎を押さえながらも、その古典がもつ特徴をしっかり捉えることが大切です。古典によっては、隷書の基本が覆されることもあります(波磔が無いとか)。
書いてみて感じたのは、意外にも(?)隷書は表情や個性が出しやすいことです。繊細で美しく、はかない表現もできれば、荒々しく力強い勢いのある文字も書けます。デザイン性に富んでいて、新聞や本の題字やタイトルに使われることも多いですし、お店の看板でもよく見かけます。日常的に書く書体ではないものの、草書よりも読みやすいので、幅広く用いることができます◎
隷書はとっても奥深い書体です。歴史や魅力が上手く伝えられたかどうかはわからないのですが…、書いたことが無い方は一度是非挑戦してみてくださいね。参考になれば幸いです(*^^)v
◎隷書の学習に良さそうな本を載せておきますね~◎
◎↓私の書道のバイブル、高校の書道の教科書です(*ノωノ)←大人になってから買いました◎