今回は隷書でおそらく一番有名な曹全碑(そうぜんひ)についてご紹介したいと思います(*^^*)。私が学んでいる日本習字の臨書部でも、今年(2020年)はこの作品を毎月取り上げています。私はまだまだ勉強中で上手く書けませんが、見れば見るほど、書けば書くほど、その美しさを知ることができます☆曹全碑の歴史、字の特徴、文字の魅力などをまとめました。※一番上の写真は、高校の教科書「書道I」の曹全碑のページです。20年前の教科書には載っていませんでしたが、今の高校生は曹全碑も学ぶんですね(*’▽’)~。
「漢隷の最後の花」と呼ばれる、伝統を受け継いだ作者不明の傑作
曹全碑は後漢時代の中平(ちゅうへい)2年、西暦185年に建てられたもの。正式名は「郃陽令曹全碑(こうようれいそうぜんひ)」と言います。「曹全(字は景完)」は、三国志誕生のきっかけとなった黄巾の乱(184)を収めるのに尽力した人物で、その功績を讃えるたために建てられました。
出土は明時代。1573年過ぎくらいまで郃陽県の旧城の土の中にあったため、碑文がほぼ完全な形で残っています。その理由は、曹全碑が建てられてすぐに曹全が失脚してしまったため。碑を建てられた後漢時代は個人を讃える碑が多く作られましたが、作るのにはかなりの労力が必要だったはず。完成してすぐに埋められてしまったことで、後々非常に良い状態で見つかり、書道界の中でとても人気な古典の一つになったとは、少し皮肉な話です(;・∀・)。曹全碑は全20行で初行から19行は各行45字。20行目は建碑の年月日が記されています。
八分隷(はっぷんれい)の典型のひとつ まずは隷書の基礎を学んでから
隷書は漢字の書体のひとつで、様々な種類があります。前漢時代に篆書から隷書へ移り変わり、草書のように流れる字体の「草隷」、波磔のあまりない「古隷」、そして今回の曹全碑にも該当する「八分隷」が生まれました。八分隷の代表的なものとして、「礼器碑」や「乙瑛碑」も有名です。この「八分隷」は、隷書=八分隷と言われるほど、現在勉強する隷書として浸透しています。
この隷書の基本用筆は、曹全碑を学ぶなら最初に覚えるべきこと。水平に、穂先を見せないように、弧を描くように波磔を書く。楷書や行書などしか書いていない人が隷書を書くと、結構面食らいます(^▽^;)。反対に、楷書や行書が苦手という人が、意外に上手に書けたりもします。
曹全碑の特徴、押さえるべきポイント
・隷書の基本を押さえながら、曹全碑の伸びやかな特徴を捉える
・線がなめらか。優雅で美しさがあり、女性的と言われることが多い。
・点画や構成が整っている。その柔らかい表情を読み解く。
・手本や図版をしっかり観察。思い込みで書かないこと。
書いてみると分かりますが、これまでの書道の知識を活かせないことも多々あるため、とにかく練習あるのみです(^▽^;)。大人が書道を始めるとおそらく最初から隷書も含めて学ぶかと思いますが、少々難しいかもしれません。専門用語よりも、先生などの筆の動きを見て分かることが多くあるかなと思います☆
まだ上手では無いですが、個人的にこの字はデザイン性に富んでいて好きです◎(と言っても行書の方が好きなので、ついつい行書に逃げてしまう…)曹全碑の課題作、一応載せておきます(;´∀`)。
◎↓二玄社の法書(お手本)と法書ガイド(解説本)は、持っていて間違いないかと!!(参考までに、曹全碑ではないのですが、二玄社の「中国法書選/中国法書ガイド」の内容について書いた記事です)