最近、顔真卿の顔氏家廟碑(がんしかびょうひ)を練習しています。唐時代に書かれた楷書ですが、力強くはっきりと書かれた線は独特な魅力があり、どこか温かみも感じる書体です(*^-^*)。今回はこの顔氏家廟碑について、歴史や特徴などをまとめたいと思います!

顔真卿72歳の時の書 顔氏一族を讃える内容で、2800文字を超える大作

作者は顔真卿(がんしんけい)。709~785年。顔氏一族は多くの学者を輩出し、書芸術に優れた人物を数多く輩出している名家。その中でも顔真卿は唐時代の学者・芸術家であり、中国屈指の忠臣とされています。生真面目で正義を貫く姿勢は、字にもよく表れています。

日本習字臨書部お手本より引用☆王義之の時代から約300年後に生きた唐時代の官僚です。

顔真卿の書は、以前草書交じりの行書「争坐位文稿(そうざいぶんこう)」を紹介しましたが、他にも「祭姪文稿」や「祭伯文稿」、楷書は今回紹介する「顔氏家廟碑」の他に「顔勤礼碑」「多宝塔碑」などがあります。顔真卿というと、独特な書法である「顔法」を作り出したことで有名で、顔氏家廟碑はその特徴が実によく出ています。
顔氏家廟碑は、別名「顔惟貞(いてい)家廟碑」とも言い、顔真卿が72歳建中元年(780年)に建てられました。幼いころに亡くした父(惟貞(いてい))の霊廟に設置するための、石碑に刻まれた書です。
最初は唐の都である長安の顔氏の廟内に建立されましたが、碑石が破損したため宋時代に再建。現在は、西安碑林にある碑林博物館に安置されています。顔氏家廟碑の篆額(題字)は、李陽冰(りようひょう)によって書かれています。李陽冰は顔真卿の他の篆額も多く書いた篆書の名人だったそうです。

日本習字臨書部のお手本より引用☆

顔氏家廟碑は高さ338cm、幅は176cm四面(碑陽、碑側、碑陰)に刻されており、「四面碑」とも呼ばれます。表と裏は各24行、1行に47文字書かれ、側面は各6行、1行に52文字書かれており、全部合わせると2800字を超える長文。顔真卿が書いた作品の中で、文字数は最多となります。内容は、漢時代からの顔氏一族の名前や経歴、学問や道徳心を重んじた姿勢、また安史の乱で亡くなった親族について讃えています。

「墨」263号(2020年3・4月号)より引用☆

力強く書く顔法 蚕頭燕尾と向勢がはっきりと表現されている

顔真卿が書く書は「顔法」と呼ばれます。生真面目な顔真卿の性格が出ているような堂々とした書体で、彼の意思を感じるよう。一点一画がはっきりと書かれています。顔真卿の書は王義之と並び称されていますが、流れるような鋭さを持つ王義之の書き方とは対照的です。
「顔法」には「蚕頭燕尾(さんとうえんび)」と「向勢(こうせい)」というはっきりとした特徴があり、顔氏家廟碑はそれが実によく表れています。

マンガ「書の歴史」より引用☆←この本、凄くわかりやすくまとまっていておススメ(*ノωノ)

蚕頭燕尾は、起筆が「蚕の頭」のように丸く書かれ、右払いが「燕の尾」のように二つに分かれている書体のことです。起筆が丸いのは、穂先を逆の方向から入れて穂先が見えないように蔵鋒で書かれているため。払いは、払う際に一度止めた後で改めて軽く払い抜いているため、このような形になります。
向勢は、向かい合う縦画が外側に膨らんでいるように書く書法。胴ぶくれの形になり、絶妙なバランスが求めらえます。

日本習字臨書部のお手本より☆わかりやすい!!

書いていると分かりますが、例えば点やハネ、線一本にしても、顔真卿らしさがあります。迷いが無く、端っこまで神経が届いているような感じがします。実に個性的!見ているよりも、書いた方がその魅力が分かりやすいかもしれません。

臨書部のお手本より☆条幅に書くと迫力があります(^^)/

顔氏家廟碑は楷書ですが、顔真卿が書く行書とはまた大きく異なる印象があります。顔真卿の書はたくさんありますが、雰囲気や魅力がそれぞれ違うことで「一碑一面貌(いっぴいちめんぼう)」と呼ばれます。これからもっともっと顔真卿の書に触れてみたい…!、そう思わせてくれる書体です(^^)。
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◎↓これは超おススメの本!!マンガなのでとっても読みやすいです♪