日本習字の臨書部で、臨書をちゃんと学び始めて2年と少し。課題は同じ古典を短くて半年、長くて1年、同じ古典に触れています(複数の課題から選ぶ形ですが)。今回ご紹介する「風信帖」は、4月からの課題。空海の書で行草書でゆったりどっしりとした美しい書体です。「風信帖」の歴史、特徴などを詳しく紹介したいと思います☆

空海が36歳位の時の書 最澄に送った3通の手紙が「風信帖」(東寺蔵)

「風信帖」の作者は空海(774~835年)。空海は平安時代初期に生きた僧侶で、延暦23年(804年)に遣唐使船で唐に渡り、中国から密教や書などを幅広く学び学び、真言宗を日本に伝え広めた人物です。能書家であり、三筆の一人として知られています。★三筆…空海・嵯峨天皇(さがてんのう)・橘逸勢(たちばなのはやなり)の3名。

高校の教科書「書道Ⅰ」より☆空海さんのお顔。

「風信帖」は、空海(弘法大師)の書の最高傑作のひとつ。空海が最澄にあてて書いた3通の尺牘(せきとく:手紙のこと)のことを指します。3通合わせて「風信帖」と言いますが、これは1通目の書き出しが「風信雲書…」と書かれていることから。厳密にいうと3通それぞれ名称があり、1通目は「風信帖」、2通目は「忽披帖(こっぴじょう)」、3通目は「忽恵帖(こっけいじょう)」といった帖名が付けられています。実はもともと5通ありましたが、1通は盗難にあい、1通は豊臣秀次に献上したことが記録に残っています。紙継ぎ目に「延暦寺印」があったことから一時期は比叡山延暦寺にあったことが分かりますが、現在は東寺に保管されています。

高校の教科書「書道Ⅰ」より☆←この本、私のバイブルですw(大人になってから購入♪)

大きさは、28.8cm×157.9cm。書かれた時期や場所ははっきりしていませんが、1通目には「9月11日」との日付があることと、最澄との交流が始まった頃に書かれたことを考えると、空海が36歳頃の秋に始まった手紙と考えられています。(最澄は空海の7歳年上なので、43歳頃。)最初は極めて丁寧な表現を使った内容ですが、時折自分の優位を綴る内容も書かれており、少しずつ考え方の相違がみられるように。最後は書物を貸してほしいという最澄の要望を空海が断ったのを機に、その後二人は断絶したようです。

「マンガ『日本』書の歴史」より☆←空海のこと詳しく載っていて参考になります(^^)
★風信帖の特徴 書き方・臨書ののコツ

基本的なことは、王義之が基盤になっている書ですが、顔真卿の影響も垣間見れる字です。書体は、行書と草書を交えた行草書。行書は楷書に近いものもあります。どっしりとした厚みのある、落ち着いた線で、ゆっくりと運筆します。文字によって、大小、筆圧の強弱、運筆の速度に違いがあります。これらの変化を表現しつつも、条幅などの場合、最初の文字は大きく太く書き、墨継ぎの文字を考えるなど、作品としてまとめるのにはちょっと頭を使います。(この古典に限ったことではありませんが。)空海らしいリズムや流れがあるので、まずは何度も練習して体に覚えさせるのが何よりのコツかも。

高校の教科書「書道Ⅰ」より☆
臨書部条幅お手本より☆これを作品にまとめるのは難しい~。

余談ですが、空海5つの書体(篆書隷書草書行書楷書)だけでなく、梵字(古代インドの文字)や飛白体(刷毛筆でかすれたように書く書体)、雑体書(デザイン化された装飾的書体)も興味を持ち積極的に書いていたそうです。(↓空海の書)風信帖は手紙なので、余計な力を入れずに空海が自然のままに書いていたでしょう。「上手く書かなくちゃ!」という思いにとらわれない空海の姿を想像しながらきちんと臨書出来たら、上達への近道かもしれませんね。

「書のひみつ」より☆←この本にも空海のことが書かれていました(^^)読みやすくて面白い本です。

◎↓良さそうな本、載せておきますね!!そのうち買おうかなぁ。

◎↓私がいつも引っ張り出している本。(というか教科書。)臨書やっている人ならぜひ購入してほしい~!!
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◎↓これ、面白くて分かりやすいです(*´▽`*)